保育経営ナビ » 施設の業績を向上させたい » 保育業界の常識・世間の非常識(6)定員が決まれば保育士の年収が決まる

施設の業績を向上させたい

    • ライター名:大嶽 広展
    • 会社名:株式会社 船井総合研究所
    • 創業から38年間で約30,000社の経営コンサルティングを行い、業績向上のお手伝いをしてきました。現在500人の社員が約5,000社のコンサルティングに当たっています。

保育業界の常識・世間の非常識(6)定員が決まれば保育士の年収が決まる

掲載日:2016年11月21日

子どもの実際の人数である実員が決まれば、
それに基づいて保育士の配置基準に基づいて
配置をしますので、人員が決まります。


さらに言えば、それ以前に、「定員が決まれば
保育士の年収が決まる」のが保育業界の経営の特徴です。


これはどういうことかと言いますと、平成28年度現在、
内閣府から「公定価格単価表」が出ていますが、ここには、
地域区分、定員区分、認定区分、年齢区分の4つがあり、
それによって、基本分単価と加算が確定する仕組みになって
います。


例えば、以下のような区分を想定します。
・類型:小規模保育A型
・地域区分:3/100地域
・定員区分:19名
・認定区分:3号認定のみ
・年齢区分:0歳5名、1歳7名、2歳7名


この場合、稼働率80%で年間約3,500万円の事業収入となります。

実員19名の場合、人数によって変化する変動費で意識して
おかなければならないのは食材費くらいのもので、後は
家賃にしても、その他事業費や事務費にしても固定費として
捉えて問題ありませんから、これらを差し引いて分配できる
人件費は限られるわけです。


それでもこのケースの場合、保育士配置は常勤で6名、非常勤で
数名は必要ですから、一人あたりに充てられる給与や賞与というのは
確定してしまうのです。


つまり、保育士一人あたりの生産性が定員という制限と保育士配置
基準という制限がある限り、上げられないということです。
(もちろんそれによって質が担保されているので、否定しているわけ
ではありません。)


一般企業の場合、一人当たり生産性を如何にして上げるかというのが
企業努力になるわけですが、それが出来ないのが保育業界ということです。



つまりは、国の公定価格による給付以外の保護者実費徴収(
例えば特別教室など)を大幅に増やす、東京都の民間社会福祉施設
サービス推進費や自治体単独補助が上乗せされない限りは、生産性は
上がらない、つまり保育士の処遇を上げたくても上げられない構造に
なっているのです。



一億総活躍プランの保育士の2%の処遇改善というのは、公定価格を
変更することですが、このような方法しかないのが現実です。
しかし、今後は既に国でも議論が始まっておりますが、如何にして
保育業界の生産性を高め、保育士の処遇を上げるかが課題になって
おります。
カテゴリ:
保育園・保育所・託児所の開園・開業 保育士の求人採用 保育経営セミナーのお知らせ
保育園児募集無料ツール 保育園経営コンサルティング 保育園M&A
保育経営ナビにお問合わせ